大切な方が亡くなったあと、家や家財道具や、残されたさまざまなものを片づけることを、「遺品整理」といいます。
遺品整理を行うこと自体は、はるか昔から変わらないことなのですが、少子化やさまざまな影響で、遺品整理の負担が大きくなってきていることが問題になっています。
さらに、近年注目を集めているのが、「デジタル遺品」に関する問題です。
デジタル遺品は、今後、確実に増えていくことが予想されていますので、事前にできる限りの対策をとっておくことをおすすめします。
「デジタル遺品」って、聞きなれない言葉ですよね。一体どのようなものを指すのでしょうか?
デジタル遺品とは、遺品として残されたデジタル機器、電子機器とそのデータ、その電子機器を使って行われたネット上の取引などを指します。
電子機器というと、何かとても難しい高性能な機器、自分とは関係ないもののように感じてしまうかもしれません。ですが、デジタル遺品と呼ばれているもののほとんどは、多くの方が日常的に使用しているものなのです。
例えば、スマートフォン、携帯電話、昔使っていたPHSなどもそうです。タブレット、パソコンを使っている方も多いでしょう。電子辞書(個人情報を登録している場合がある)、デジタルカメラ、USBメモリやSDカードに写真やデータが残っている場合もあります。スマートスピーカーを自宅に置いていたり、スマートウォッチなどのウェアラブルコンピュータを使っている方もいらっしゃるでしょう。自分では使っていなくても、誰かに譲ってもらったり、お子さんなどにプレゼントしてもらって家にあるという方も意外と多いようです。
個人情報や写真を含むデータが残された電子機器、ネットに接続して使われていた電子機器。持ち主が亡くなったあとに残される、こういった製品すべて、残されたデータのすべてがデジタル遺品になります。
<デジタル遺品になりうるもの>
・スマートフォン
・携帯電話
・PHS
・タブレット
・パソコン
・電子辞書(個人情報が登録されたもの)
・電話(電話番号が登録されたもの)
・FAX(電話番号が登録されたもの)
・デジタルカメラ
・USBメモリ
・SDカード
・外付けHD
・CD/DVD/FD
・スマートスピーカー
・スマートウォッチ
・クラウドデータ ほか
亡くなったあとに残される遺品は、電子機器だけではありませんよね。個人情報が記された手帳や手紙、住所録などもあるでしょうし、たくさんの写真や、人に見せたくないような品々が残されている場合もあります。
さまざまな遺品の中で、デジタル遺品と呼ばれる電子機器が問題視されている理由は、「その中にどのような情報が残されているか、その中でどのようなことが行われていたか、容易にわからない」という点にあります。
例えば、遺品整理をしていく中で、個人情報満載の古い手紙の束が見つかったとします。その場合、すぐに中身を確認して、処分してよいものであればシュレッダーにかけるなどして安全に廃棄処分することができます。大切なものであれば保存しておく必要がありますが、見てすぐに判断することができます。
更新済の古い預金通帳や、手帳、日記、写真なども同様に、必要かどうかを判断して、要らないものは廃棄処分してしまえば大丈夫です。
しかし、電子機器の中に残されている情報はそういうわけにはいきません。
電源を入れて、ログイン認証をして、あるいはなんらかの方法で中身を確認しなければならないのです。電源を入れるだけで中身をすぐに見ることができればよいのですが、パソコンやスマートフォンなどの場合は、電源を入れるだけでは中を見ることができないケースがほとんどです。たとえログインできたとしても、どこにどんな情報が保存され、ネット上でどんなやり取りや取引が行われていたかを知るためには、専門的な知識に加え、膨大な時間が必要になってきます。
遺品として残された電子機器の処分は簡単ではなく、なかなかやっかいな問題なのです。
ひと昔前までは、手書きの書類や固定電話、現像してプリントした写真、レコードやカセットテープ、ハガキや手紙、印刷された書類による申し込み手続きといったものが一般的でした。
でも、今は違います。
現在では、多くの人が日常的に電子機器を使用し、写真も個人情報もデジタルデータで保存され、ネット上でさまざまな手続きが完結してしまいます。
デジタルデータの存在は本人にしかわかりませんし、ネット上で行ったさまざまな取引の詳細も、持ち主がいなくなってしまったらどうすることもできません。
最も注意すべき問題は、デジタル遺品に関連して起きる、お金に関するトラブルです。
例えば、ネットを通して購入したものの代金が未払いになっていたらどうでしょう。ネットを通して、お金を借りているケースがあるかもしれません。トラブルではないのですが、ネットを通してなんらかのサービスを利用していて、毎月使用料を支払っているとしたどうでしょう?支払いが止まってしまったことで、自動的に解約されていればよいのですが、未払いの使用料が後日請求されるかもしれませんし、誰も知らない銀行口座から、使用料が延々と引き落とされ続けるかもしれません。
ネットバンキングや、ネット証券を利用している場合も、注意が必要です。
申し込み手続きも、取引も、すべてネット上で完結しているため、本人が亡くなってしまったあとでは、誰もその存在を知ることさえできません。取引の記録が見つかったとしても、IDとパスワードがわからなければログインすることができないので、対処のしようがないわけです。
高価なスマートフォンやパソコン、タブレットが遺品として残されていた場合、どうしますか?遺族の誰かが使うか、売って処分するケースが多いのではないでしょうか。その場合、電子機器の中に残されていた個人情報を、確実に削除できているでしょうか?
廃棄処分やリサイクルする場合でも、きちんとした手続きを行わなければ、個人情報が残ったまま知らない人の手に渡ってしまう可能性もあるのです。
デジタル遺品によるトラブルを避けるために、ぜひやっておくべきことがあります。
それは、記録を残しておくこと!
エンディングノートに、銀行口座や相続に関する大切な情報を残している方が多いと思いますが、ぜひ、デジタル遺品に関する情報も記録しておいてください。
使用しているパソコンやスマートフォンのID、パスワード、電話番号。月々の使用料が発生している契約やサービス、アプリ、取引についての情報、ネットバンクやネット証券についての情報。クラウドサービスを利用している場合は、その情報についても記録しておきます。
そして、データや写真を整理して、不要なものは削除しておくことも大事です。使っていないサービス、アプリ、ネットサイトへの登録は、忘れないうちに削除しておきましょう。
データを記録したCDやDVD、USBメモリなどの記録媒体がたくさんある場合は、それらについても整理、廃棄処分しておくことをおすすめします。
近年、大きな注目を集めている「デジタル遺品」に関連するトラブルについてご紹介しました。
今のうちに行っておくことで避けられるトラブルがたくさんありますので、パソコンやスマホ、携帯電話などを使っている方は、ぜひ、事前の対処をおすすめします。
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